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アイトレーナーとは東京医科歯科大学眼科での基礎研究をもとに鈴木弘一博士と株式会社アイトレーナーが共同開発した訓練器で、視力回復に有効とされる、拡散訓練(左右への拡散訓練)近視凝視法(前後への移動訓練)を同時に行えるという世界初の機能を持つ、新しい視力回復訓練光学器機です。 使い方は、ご自宅でテレビを見ながら訓練ができ、とっても簡単!長続きしないという方でも、ご自宅でテレビを見る時間が視力回復訓練になるため、楽しくあきずに続けられます。

●本体セット内容/本体、三脚、ACアダプター、視力検査表、使用説明書、保証書
●本体の重さ(約)/350g
●材質/ABS樹脂、他
●コードの長さ(約)/1.8m
●色/シルバー
●電源/AC100V
●ACアダプター(約)/100g
●1年間保証
●日本製
●サイズ(約)/幅12.3cmX奥行き6.3cmX高さ9.8cm
●初期不良の場合は、新品と交換致します。


眼のエクササイズ完全ガイド内容

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臨床報告 「TVを見ながら近視を治療する光学器械について」

鈴木弘一

近視の治療に関する業績は,新しい治療薬や治療法の開発,治験験告などすでに数多くの積み重ねが行なわれてきた。これら治療法の内容もきわめて多岐にわたり,全身的な薬物療法,局所的薬物療法,理学的治療法,訓練療法や装用眼鏡に関する工夫,手術など多面的なアプローチがみられる。

しかしながら,過去数十年にわたるこのような近視治療の発展にもかかわらず,近年の学童の近視罹患率の騰勢は変わることなく,少なくとも統計上では近視治療の困難な状況が示され,あたかもこの点において無力であったかのごとき観がある。眼鏡は体育に不利で,破損に,よる危険もあり,装用せねば見えぬための事故もある。近視の治療は,近視が発生,進行する時期であるところの学堂期における治療と,近視としの症状が固定する25歳すぎの,主として手術を主体とした治療とに大別できるが,いずれの時期においての治療もいまだ満足すべき成果が得られていない。

学童期における近視治療について,その治療法を考える上での注意点を再考してみると,
1)近視治療に関して有効であること
近視治療の上での治療効果としては、(イ)近視が完全に治癒する,(ロ)近視が軽くなる,(ハ)近視の進行が完全に止まる,(ニ)近視の進行程度が緩やかになる、の四点を挙げることができるが、いわゆる先天近視と後天近視とを判然と画することの不可能・な現在,すべての近視に対して完全な治療効果を期待することはできない。しかしながら,すべての後天近視が正視を出発点とするものであるならば,近視発生の初期段階における治療効果が十分に有効な治療法であれば,近視発現のつどその治療をくり返すことにより,長期にわたる有効性が得られるのではないかと考えられる。
2)長期にわたる治療においても副作用の発現のないこと
近視は,少なくとも学童期においては慢性巡行性、の疾患であるとの認識に立てば、近視の発生からできれば25歳頃までの長期にわたる眼科医の管理を続けることが望ましいといえる。この間における近視の治療,近視進行予防に用いられる治療法としては,長期関連用されることかあっても,全身的,局所的に忌むべき副作用としての他疾患を惹起せぬものであることか望ましいわけである。
3)長期にわたって治療を継続しやすい条件を具えていること
ことに学童期におっては,近視が一度発生した学童においては,近視の遺伝的な要因と,環境的な要因とがともにそれ以後も持続的に存在するものと考えた方がよい。したがって,はじめの近視発生時点での治療に成功して治癒せしめ得たとしても,後に再三発生進行してくる近視をそのつど治療し得るような条件か具わっていなければ,結局のところ近視に固定することを防ぎ得ないわけである。

 
治療に痛みや,副作用の不安,日常生活の上での不都合を伴ったり、毎日治療のため通院することなどによる時間的損失は、患者の側から治療を嫌い、早期に行なうべき治療が遅れたり,治療を断念する原因となる。これまで近視の治療法の上で,このような配慮が十分に行なわれていたとはいえない。できるならば患児が興味を持って積極的に近視治療にとり組み得るような性格,内容を持った治療法作りをすることが望ましいものと考える。
4)適切な治療により完治させることのできるような近視の存在することは事実であるが,このような完治の期待し得る近視であるための条件の第一として,発生早期の近視であるということが挙げられよう。近視をその初期段階で発見し,早期に治療することが近視治療の上で最も大切な条件であり,近視治療の有効性についての認識をたかめることにもなるのである。近視の発生を早期に発見し,かつ早期に治療を行なうための家庭や学校保健での配慮が必要であるように思われる。

以上に述べたごとき注意点に配慮し近視の訓練泊療を行なうための光学器械を考案,試作した。この装置を使用した近祖治験を行なったところ,その有効性が認められたので,ここに報告する。


Ⅰ.この光学器械による治療法の考えかた

薬物治療や超音波,低周波などの理学的な手段によらず,眼にそなわっている生理的な機能,条件を利用しての近視の治療法としては,従来凸レンズ装用法,望遠訓練法,水晶体体操法,ハプロスコープによる輻輳調節分離訓練,シノプトフォアを改作しての開散訓練治療法などが発表されている。ここに報告する治療法はこのような機能的な訓練療法を基盤としたものである。

1)近視眼の眼前に装用した過矯正の負レンズの屈折力を次第に弱くしてゆき,低矯正,または正レンズに変化させると,その近視眼はできるだけ鮮明な網膜像で明視を得るために,眼前の装用レンズの屈折力に相応して,やや調節の状態から次第に調節弛緩し,調節を積極的に解除する方向に水晶体屈折力を変化させなければならない。
このようこ調節状態を解除する方向への能動的,積極的な毛様体筋の変化を繰り返し行なわせる訓練療法が近視の治療において有効であると考え,これをとり入れた(第1図)。
現状では1枚のレンズで屈折力をこのように変化させることは不吋能であるが,正レンズおよび負レンズをそれぞれ一枚同軸に用いることによりレンズ間の距離を変化させて,訓練に必要な任意の屈折力の変化を自動的に作り出している(第2図)。
2)輻輳と調節とはそれぞれ密接な関係を持った生理的な機能であって,完全な対応ではなくとも,輻輳を行なうとこれに伴って調節が起きやすく,調節をさせればこれが輻輳を促す刺激となるわけである。もちろん,相対輻輳力,相対調節力というものがあり,ある程までは分離して,輻輳あるいは調節・を行なわせることは可能であるが,その範囲をこえて分離して働かせることはできない。このような生理的な関係から,輻輳の解除,開散をさせることが調節弛緩をうながすもりと考えられ,ハプロスコープを用いて相対輻輳力の幅を広げる訓練や,大塚任氏のシノプトフォアを改作した器械8)による近視の治療法が報告されてきた。本治療器における考え方も、開散に伴う調節弛緩衝動をはずみにして,明視を得るために行なわれる調節解除を積極的に強く働かせようとの意図を持つものである。本治療器においては,この目的のために回転プリズム(重複プリズム)を使用した。同転プリズムは2枚の等強のプリズムの面を合わせて,この2枚のプリズムが互いに反対方向の等角度,自由に回転するもので,この回転によって連続的にブリズム屈折力を変化させることができる。光学系の屈折力がマイナスから次第にその屈折力を弱め,0に近ずき,またプラスに変わるのと同調させて,回転プリズムのプリズム屈折力を両眼とも基底を内方に固定したまま,0から次第に大きくすると,この光学系を通して視標を固視している眼は,映像を維持すべく次第に開散することを強制され、光学系の屈折力の変化と相まって調節の解除がより積極的に行なわれるものと考えられる(第3図)。
3)また、両眼を次第に開散させながら、しかも両眼視における融像を得るためには、視標となるものを凝視してできるだけ明瞭な網膜像を持つことが必要であり,このとき近視に対して低矯正またはプラスのレンズ装用であれば,この結果,明視を得んとしてさらに調節弛緩が強められるものと考えられる。
今回治験に用いた光字装置では,上記のごとく開散と,低矯正レンズあるいはプラスレンズ付加とを有機的に組み合せ,-4.23Dより-1.21Dまでの変化から,-2.37Dより+1.75Dまでの変化のうら(第4図),任意の変化を選択することができるようにした。この間の変化は,調節を弛緩させるために8秒。元に戻るのに2秒で,往復時間はつねに10秒とした。回転ブリズムのプリズム屈折力は基底内方で,常に0から5⊿までの一定往復変化とした(往復10秒)。1.5Vの単一乾電池4個を電源として,モーターで連続的に反復変化をさせている。

以上のごとく,本治療器においては凸レンズ装用法,望遠訓練法,開散訓練法などにおける治療の効果を,毛様体筋,外眼筋の能動的な反復運動のなかで得ようとする目的を持つものである。


Ⅱ.この光学器械の構造

器械は、接眼部に.マイナスレンズ、その前方にプラスレンズ,さらにその前力に回転プリズムが,それぞれ間隔をおいて配置され(第5図),双眼鏡の形式をとっている。
上部に小型モーターがあり,モーターの回転は歯車,カムを介して伝えられ、共岫上でのプラスレンズの往復水平移動,および基底内方にプリズムの方向を保ったままでの同軸プリズムの往復回転運動を行なう。プラスレンズの自動往復移動距離は15mm,回転プリズムはプリズム屈折力の変化が0から5⊿である。また、接眼部のマイナスレンズは、用手回転により10mmまで手前に引き出せるようになっている。

接眼部のマイナスレンズを引き出すことにより,第4図に示した屈折力の変化の範囲内で任意の屈折力変化を選ぶことかできる。
なお、正レンズと負レンズの光学系によって作り出される屈折力は,接眼部マイナスレンズの後側主点での屈折力で示されている。

光学系の屈折力がマイナスからプラス側に向かって変化するのに同調して,プリズム屈折力は0から5⊿まで変わり,この間の動きは8秒である。光学系の屈折力がマイナス側に戻るときにプリズム屈折力は0に戻ってくるが,この間の動きは2秒間とした。


Ⅲ.治験方法

被験者は、東京都板橋区立志村第二小学校の協力を得て,同校五年生および六年生合計203名の屈折検査を行ない、-3.0D以下の軽度近視および近現性乱視を示した者のうち,本治療器による治療を希望した女子7名,男子11名の計18名と、1974年6月より8月までの間に視力低下を主訴として東京都立豊島病院眼科外来に受診した患者のうち,-5.5D以下の近視および近視性乱視の患者で屈折異常のほかに眼疾がなく、本治療器による近視治療を希望した7歳から18歳までの女子9名,男子6名の計15名であり,合計33名61眼を対象として治験を行なった。

被験眼を治療前の屈折度により分類すると第1表に示すごとくであった。
治療前後における検査の正確を期するため,治療対象の被験者をあらためて時間を指定して東京医科歯科大学眼科外来または東京都立豊島病院眼科外来に来院させ,以下のごとき手順で検査を行なった。なお,被験者に対する治療前後の検査は使用する場所,照明,検査器械器具,検者が同一である。
1)角膜曲率半径の測定
Littmann型Ophthalmometerを用いた。
2)他覚的ならびに自覚的屈折検査
自覚的屈折検査は十分な時間をとり,角膜曲率半径計測値および他覚的屈折検査測定値を参考としつつ,眼を細めないよう注意しながら,主として大島式標準視力検査装置によって慎重な配慮のもとにこれを行なった。
3)眼底精密検査
4)調節麻痺剤として0.5%MydrinP点服薬を用い。
1滴ずつ3分毎に3回点眼し,以後必要ならば20分毎に追加点眼を行なって自覚的屈折検査をし,いわゆる「戻り」を測定した。
5)瞳孔距離の計測
三田式瞳孔距離計によって実測した。
6)治療は双眼鏡形式の本治療器を眼前に保持し,20分間3m離れた距離から18インチTV画面を正面から見るかたちとした、被験者に対して,他の薬剤投与,治療はまったく行なわなかった。また,生活指導などは治療が終了するまで行なおないこととした。治療の方法は,原則として被験眼の示した眼屈折度よりも-2.0D大きい過矯正の状態をスタート点として選び,第4図により接眼部の日盛りをそれぞれ決めて第1日日の治療を行ない、次回より治療のたびに左右接眼部の目盛りを両眼とも1目盛りずつ大きくしてゆき.左右どちらかが10までいったところではじめに決めたスタート点に戻ることとした。その後はこれを繰り返すことにより治療を行なった。毎日の治療を原則としたが,実際には平均治療期間63日、治療回数29回であった。

視力検査および視力表に対する慣れをできるだけ排除するため,治療経過中での屈折検査を避け.2~6週に1回の裸眼視力測定に止めるようにし,この間の視力検査に用いる試視力表は,治療の前後に届折検査を行なうものとは異なるものを用いるようにした。
治療期問に比べ治療回数があまり増加せず,これは治療回数を明らかにするため通わせたことに原因するものと思われた。治療後の検査についても,治療前と同様の配慮のもとにこれを行なった。


Ⅳ.この光学器械による近視治療成績

本治療器を用いての近視および近視性乱視患者に対する治験成績を第2~4表に示した。
 症例数 61眼
 平均治療期間 63日
 平均治療回数 29回
 1)裸眼視力について
  治療前平均 0.27
  (0.4以下の群の平均 0.19
  (0.5以下の群の平均 0.66
  治療後平均 0.45
  治療前0.4以下の群の平均 0.33
  治療前0.5以上の群の平均 1.02
  視力改善比(治療前と治療後の視力の比)1.69
 2)眼屈折度について
  治療前平均 -1.34D
  治療後平均 -0.70D
  改善差(治療前後の屈折度の差)0.64D
 なお,視力の平均は小数視力を一度,最小視認視角に換算して平均し,この平均値をふたたび小数視力に換算して示した。また、乱視の場合の屈折度は,プラス側に近いあるいはプラス側に大きい主経線の屈折度を常に用いた。
 さらに,治療前後における裸眼視力の変化および眼屈折度の変化について推計学的な検定を行なったところ,いずれも1%以下の危険率で有意な変化と認められた。

 なお.治療において副作用と思われる所見はなにも認められたかった。
 また,保坂明郎・大橋利和氏1'と同じ判定基準を用いて,裸眼視力については治療前と治療後の比をとり,その比が1.25~2.49のものを(+),2.5以上を(++)とし,屈折度については治療前と治療後の差をとり,その差が0.25~0.99Dを(十),1.0D以上を(++),不変または多少は良くなっても,前記条件を満たさないものを(±),悪化したものを(-)として、治療効果の判定を行なったところ,第5表のごとくであった。


Ⅴ.Mydrin P点眼薬による近視治療成績との比較



本治療器の近視治療における効果の判定のため,Mydrin P点眼薬による近視治療を行なう患者での治療成績と比較をすることにした。
1974年1月より8月までに,視力低下を主訴として東京都立豊島病院眼科外来を訪れ,近視または近視性乱視の診断を受けて,MydrinP点眼薬投与による治療を希望し,MydrinP点服薬を毎日就寝前点眼する治療を行なった者のうち,経過を観察し得た者は、17名34眼であった。本治療器による治療を行なった者とは時期的な差があるか,あるいは地理的,時間的に本治療器による近視治療を行ない得なかった患者である。
MydrinP点服薬による治療成績は第6,7表のごときものであつた。MydrinP点服薬による治療では, 
平均治療期間 40日
 1)裸眼視力について
  治療前平均 0.33
    0.4以下の群の平均 0.22
    0.5以上の群の平均 0.59
  治療後平均 0.37
  治療前0.4以下の群の平均 0.25
  治療後0.5以上の群の平均 0.67
  視力改善比 1.11
 2)眼屈折度について
  治療前平均 -0.96D
  治療後平均 -0.97D
  改善差   -0.01D
一方,本治療器による近視および近視性乱視に対する治療効果は,裸眼視力において視力改善比1.69,眼屈折度の改善差0.64Dであり,MydrinP点眼薬による治療成績と比較してすぐれたものであった。


Ⅵ.考按

近視の治療については幾多の報告がなされてきたが,点眼による方法が最も簡便で,かっ実行しやすいとの考えから,0.5%Mydrin P〔Tropasiauurre N-athyl-N(γ-picolyl)amid],あるいは5%Neosyncsinなどの点眼治療が広く眼科医によって行なわれている。点眼による治療は全身的な薬物投与による治療に比べて投与しやすく,副作用も少ないと考えられ,その治療効果についても報告は多い。しかしながら患者の側に立ってその治療法を考えたとき,従来の点眼療法が長期にわたって連用しやすく,副作用の不安もなく,治療効果に滴足して,現実に長期間にわたる継続治療を多数の患児が行なっているかとの点に関しては,大いに疑問があるように思われる。
ある期間の点眼治療を受けた後に,やがて治療をあきらめて眼鏡を作り,それ以後は近視の進行に伴い数年おきに眼鏡を新調するというパターンがとられている。一方,その近視治療の簡便さ,あるいは治療効果の面において,現在広く行なわれている点眼療法を凌ぐ簡便さ,または治療効果の良さ,あるいは副作用の不安を持たない訓練療法についても,いくつかの方法,手段,器械の報告がみられた。たとえば凸レンズ装用法や望遠訓練法。「十分伸びる前には十分屈せよ」の考えから始められた水晶体体操法などは簡便な治療法であり,またその治療効果については,訓練療法は点眼治療よりも良い成績で報告されているものか多い。土岐達雄氏の報告によれば,2.5%Neosynesin点眼による治療を94眼について行ない,0.41Dの近視減少であった。また高野良雄氏によれば Mydrin点眼による近視の治療において42眼の治療で0.27Dの近視の減少,Nesynesin1ヵ月治療+Mydrin点眼治療においては25眼の近視治療を行ない,0.20Dの減少であり,保坂・大橋氏の報告におけるCydogy1点眼での62眼の治療では,平均0.37Dの近視治療効果が見られている。

これと比較して近視の訓練療法における成績をみると,凸レンズ装用を用いる近視治療の歴史は古く,その方法はさまざまであるが,田野良雄氏は凸レンズ眼鏡装用練習法による偽近視治療成績について,+4,0D前後の眼鏡装用での訓練療法で73名につき治療を行ない,男62.5%,女84.5%に有効であったと報告している。ハプロスコープを用いた幅輔調節分離訓練は,稲葉六郎氏が潜伏遠視発見の一方法として報告されたものを発展させ,萩原則氏,三派兵庫・仁田正雄氏の報告でその有効性が明らかにされた。三浦・仁田氏は3.0D以下の近視30名154眼につき治療を行ない,平均0.60Dの治療効果であったと述べている。大塚任氏は,ハプロスコープによる近視治療が開散に伴う調節弛緩衝動をも利用していることに着眼し,むしろ開散訓練を行なわせることが調節弛緩に直接結びつくのではないかとの考えから,大塚式偽近視治療器を開発した。この装置を用いての川瀬亨氏の治験報告によれば,46限について平均3ヵ月にわたる治療を行ない,平均1.18Dの近視軽減をみている。

このように近視の訓練療法における成績は,局所点眼療法をその効果においても凌ぐものがあるように思われる。また,山地良一氏は,近視治療のために毎日通院させる方法はすでに時代遅れであって,結局治療が長続きせず続かないから結果も良くないと述べ,この点から安全有効な家庭療法としての点眼近視治療薬について報告されているが,同じ観点から近視治療における訓練療法の有用性は明らかであり,これら訓練療法の持つ良い面を改めて認識した上で,近視治療に訓練療法がさらに大きな比重をもってとり入れられるべきであると考え,そのための条件をできるだけ具えた治療法をとの考えから,ここに一つの光学器械を試作したのである。

明らかな近視の治療,すなわち近視眼屈折度を減少させる治療に止まらず,眼鏡装用者に対しても近視の退行を予防するための治療を行なわせ得る可能性を持つものとして,訓練療法が再認識されるべきであるし,眼科医の管理の下で行なわれる近視の訓練療法が,さらに見直されるための条件を満たす方法を考えるべきであると思われる。

今回の治験においては,61限の近視および近視性乱視患者について治療を行ない,平均63日,29回の治療で,平均して0.64Dの近視の軽減がみられたが,眼鏡を常用していない近視患者については,近視発現から比較的早期で,近視が軽度であり,眼底変化がごく軽いものに治療効果が明らかであるごとくであった。
眼鏡を装用せぬ近視眼にとっては,日常生活においてすでにある程度の望遠訓練か含まれており,姿勢か正しければ調節負荷も比較的軽くなっているわけで,これを超えて固定化しつつある近視眼に対しては治療が困難となるものと思われる。

この治験においてMydrinP点眼調節麻痺によるいわゆる「戻り」の大きさよりも強い近視治療効果がみられたわけであるが,MiydrinP点眼による調節麻痺が毛様休筋の異常緊張を除去し得るほどの強さを持たなかったか,あるいは近視の初期症状として軸性の弾性変形があり、これが治療によって本来の眼軸長に近く戻ったものかのいずれかと思われる。後者の観点からみれば,近業負荷によって発生する眼軸長の延長性変化が,近業負荷の持続によって弾性限界をこえたものであれば,眼軸長の固定的な延長性変化になるものであっても,限界内のものに止まれば,これを引き戻すことができるのであろう。調節に伴う眠軸長変化,訓練治療による屈折度の変化量からみて,眼軸長での弾性限界は眼軸長の1%前後のもので,偽近視の定義に示される内容と,治療可能な近視の部分との間は差があるように思われる。

また,治療に用いる視標としては,TV両面のごときものではなく,さらに凝視,明視を要求するもの,たとえば試視カ表の視標,遠景の一点のようなものを用いる方が治療効果を上げるのではないかと思われたが,あきることなく治療が継続できるという点を優先し,今回はTV画面を見なからの治療に限って,その近視治療効果をみた。


結語

1)治療がTVを見ながらでもできるので習慣化しやすく,
2)副作用の不安がなく,
3)方法が簡便で,
4)有効な,
近視に対する訓練治療器として,自動機構を備えた双眼鏡形式の光学器械を試作した。今回の治療においては,この器械を用いて7歳から18歳までの男女で-5.5D以下の近視および近視性乱視患者33名61眼の治療を行なったところ,裸眼視力では治療前0.4以下の視力群では平均0.19の視力が治療後0.33の視力に,治療前0.5以上の視力群では平均0.66の視力が治療後1.02の視力になった。
また,眼屈折度では治療前平均屈折度-1.34Dが治療後平均屈折度-0.70Dとなり,治療により平均0.64Dの近視の軽減であった。推計学的にも有意な変化で,本治療器の有効性は明らかであった。また,ミドリンP点眼薬による治療に比べてもすぐれたものであった。
稿を終えるにあたり、ご校閲を賜わりました恩師大塚任教授に深く感謝いたします。また,ご協力を戴きました牧野道子氏,本治療器の製作にあたられました貞永和清氏,中嶋朝二氏に謝意を表します。

文献
 1)保坂明郎・他:臨眼,23:907,1969,
 2)田野良雄:眼臨,40:34,1946.
 3)筒井徳光・他:臨眼,1:82,1947,
 4)三井幸彦:日眼,51:49,1947,
 5)高野良雄:臨眼,18:45,1964,
 6)稲葉六郎:眼臨,28:62,1933,
 7)三浦兵庫・他:眼臨,40:15,1946,
 8)川野 享:日眼,74:1509,1970,
 9)鈴木弘一:日眼,73:349,1969,
 10)鈴木弘一:日眼,73:2262,1969,
 11)土岐達雄:臨眼,14:248,1960,

 Abstraet
 A new device is described with which treat-
 mentor for pseudomyopia can be conducted at
 home while the paticnt looks at the television.
 The device is shaped like a pair of binoculars
 and incorporates a self・driven mechanism for
 relaxation of accommodation synchronized with
 relaxation of convergence. While the patient
 is instructed to look at 18・inch television
 screen at the distance of 3 meters, the relaxa-
 tion of accommodation/convcrgence gradually
 proceeds for 8 seconds and is repeatd after
 the recyling time of 2 seconds. A single treat-
 ment is conducted for 20 minutes.
  A total of 33 subjects (61eyes)with myopia
 ofless than -5.5 diopters were treated with the
 method Their ages ranged between 7 and 18
 years. After the period averaging 63 days,
 during which an average or 29 treatments were
 conducted, the averaged visual acuity improv-
 ed by 69% from the pretreatment levcl of 0.27
 to posttreatment levd of 0.45. The state of
 refraction improved from thc pretreatment ave-
 rage of -1.34 diopters of the posttreatment
 average of -0.70 diopters The thus induced
 improvemcnts in visual acuity and state of re-
 fraction were statistically significant. These
 results were far superior to those obtained in a
 comparable group or 17 subjects(34eyes)treat
 ed by instillation of cycloplcgics once a day
 continued for 40 days. The present device is
 of value as it is simple, acceptable by the pat-
 ient,free of possible side effects and effective.


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